英語の前に育てたい「理由の厚み」|小学校高学年〜中学生の思考を支える関わり

「発達×個性」を起点に、こどもの学び方・おうち英語・海外教育を、こどもと歩む人たちが“デザインしていく”ための視点や問いをお届けしている林智代乃です。

ありがたいことに、ご縁が重なり、オーストラリア・ニュージーランド・カナダ・アメリカの教育の『場』に触れる機会がこれまでにありました。

…というと、ちょっと大袈裟に聞こえる感じなのですが、私が体験したのは、『視察』というより、ボランティアや体験入学、校長先生はじめとした先生方そして保護者の方との対話など、生活に近い距離での『体感』に近いもの。

そんなそれらの機会を通して常に何度も感じたのが、『自分の考えの厚み』と『それを支えるものをどれだけ育んでいけるか』、これが学びの中心に置かれているな…ということでした。

 

こどもが何を知っているのかより、どう考え、何を根拠にしどう深めていくか、そのプロセスそのもを大切に扱っている

 

そういった様子を受け取ることが本当に多かったのです。

これって、海外のお話で終わらないんですよね。

むしろここにこそ、『英語がツールとして活きる土台がある』んだなと感じています。

英語を『頑張るかどうか』の前に、言葉を使って考えを育む下地について、今回は書いていってみたいなと思います^^

 

【今回のポイント】


・小学校高学年〜中学生は『理由・根拠・具体例・別の見方』が育ち始める時期
・海外の授業では、『考えの支え方』が学びの中心に置かれやすい
・その土台は母語での思考時間で厚くなりやすい

 

海外の教育と日本の教育の違い

 

おうち英語に興味を持たれているご家庭の多くは、海外の教育にも興味を持たれたり、そのあたりに関して見聞きされたりする機会が特に多くあるのではないかな…と思います。

そこでよく見聞きするのが、海外の授業では『自分の考えを言葉にする時間が多い』だと思います。

ただ、私が現地の教育に触れる機会を通して印象的だったのは、単に『意見を言う機会が多い』というより、意見を『理由や根拠で支える』ということが授業の流れの中に組み込まれているという点でした。

『意見があるか』より『その意見を何で支えるか』。

ここが学びの中心として設計されている感覚なんですよね。

以前お世話になったニュージーランドの小学校の校長先生も、こんなことをお話くださいました。

 

日本を含むアジアの教育と比べて、ニュージーランドは『考えること』を大事にしている。
どれだけ考えられるか、どれだけ考えたか。ここを大事にしているんだ。
そのため、”why” を常に問う対話を大事にしている。
テストで測る方が、ある意味簡単だけれど、そうじゃないからね!

 

 

もちろん!日本の教育が良くないというお話ではないです。

日本には、正確に理解し、丁寧に積み上げていく強さがあります^^

ただ、その上で違いがあるとすれば、【評価の焦点】なんですよね。

日本は、『正しく理解して、正しく答える』場面が得点に直結しやすい一方で、海外の場では「なぜそう言える?」「どこが根拠?」のように、考えの支え方が点になりやすいんですよね。

『理由・根拠・具体例・別の見方』が学びを進めるための当たり前の材料として扱われている。

そんな構造の違いがあるんですよね。

 

こどもの発達段階を活かした時、大事にしたいフェーズ

 

発達の角度から見ていくと、小学校高学年から中学生の時期って、いわゆる【考えの支え方】といった部分が育ち始めるタイミングなんですよね。

例えば、目の前の出来事や情報をそのまま受け取るだけではなくて、

 

「これって結局、何が共通してる?」
「どんな仕組み(構造)になってる?」

 

みたいに、ひとつ上の視点から捉え直す力、いわゆる『抽象化』が少しずつできるようになってくる時期。

もう少し日常に寄せた言葉にしてみると、

 

言いっ放しで終わらず、『だから何?』…といった、まさに “why” まで自分で繋げられるようになる

 

そんな変化が出てきやすい時期なのです。

この時期って、本当に思考がぐんぐん育つ時期。

さらには、『相手はどう思うか』『別の立場からみると何が言えるか』といった視点取得も思春期にかけて、少しずつ洗練されていくんですよね。

 

 

つまり、この小学校から中学生の時期って、『理由を厚くする』『根拠に戻る』『視点を切り替える』といった【思考の操作】が育ち始め、中学生以降で形になりやすい時期ということ。

じゃあ、そんな時期、海外の教育現場では、どんな授業が行われているのか…というところです。

 

思考がグンと伸びる時期(Grade 6前後)、海外はどんな授業をしている?

 

日本だと、どうしてもお勉強の量が増え、テストという存在が気になり始めたり…と、どこか忙しくなり始める時期でもある、小学校高学年から中学生の時期。

一方、その時期の海外教室(Grade 6前後)では、やっぱり「あなたはどう思う?」で終わらせず、そこから先の『支え』を扱うやり取りが、授業の中で回っていることが多いんです。

例えば、先生はこんな問いを投げかけるんですよね。

 

「なぜ、そう言える?」
「本文のどの部分から?」
「具体例を足すとしたら?
「別の見方はある?」

 

ここで大事なことは、英語が流暢かどうかより、『理由の置き方』『根拠への戻り方』『具体例の出し方』『視点の切り替え』が学びや評価の中心に置かれているということなのです。
(地域にもよる部分もありますが、同じ学年でも、移民・家庭内が別言語…と、英語の背景がバラバラな人たちが多く集まりますからね。)

意見の厚みや視点の切り替えがちょうど育ち始めるこの小学校高学年くらいからの時期に、『正解を増やす』より『どう考えを作るのか』の思考の回路作りをしていく経験をどんどん積んでいるわけです。

 

なぜ、この時期に効く?発達の根拠

 

小学校高学年から中学生の時期って、『知っている/できる』を増やすだけでなく、頭の中で考えがを操作する力が育ち始める時期。

例えば、

 

・いくつもある情報の中から、使う材料を選ぶ
・その材料を並べ替えて、筋の通る形にする
・一度作った考えを、別の見方でもう1回組み替える

 

こういう【思考の操作】が、少しずつ『できるようになっていく途中』にあります。

この時期のこどもたちは、同じ文章を読んでも、同じ出来事を見ても、受け取り方が特に分かれ始めるんですよね。

そこで初めて、『私はこう思う』の輪郭が出てくる。

そしてその輪郭を太くしていくために必要になるのが

 

理由を厚くする
根拠に戻る
具体例で支える
視点を切り替える

 

という動き。

だからこそ、この時期に『正解の数』を増やすだけでなく、どう考えを作るのかに触れる経験があると、後から伸び方が変わってくるわけです。

私もキッズのコーチングでは、この時期を活かした関わりをとても大切にしています。

 

母語での思考時間が土台になりやすい理由

 

英語力って、まだまだもちろん大事。

なので、『英語は不要』というお話をしたいわけではないです。

ただ、英語がツールとして活きる順番を考えると、先に厚くなりやすいのが母語での思考時間なんですよね。

理由や根拠って、単語を並べればでてくるものではなくて、一旦頭の中で材料を探して、組み立て直す作業が必要です。

この『材料探し』と『組み立て』がいちばん自由にできるのが母語なんですよね^^

ここが分厚くなると、英語は『上手に話すもの』ではなく、『考えを運ぶ器』として動き始めていくもの。

そういった意味からも、もちろん『英語』の存在を捨てるのではなく、『英語』に繋げるために私は、英語の前に日本語で深める時間を大切にしていたりします。

ディスカッションの機会やディベートの機会を日本語で作ったりしているのも、まさにこの本質からだったりします。

おうち英語への取り組み具合は、もちろん、各家庭の選択であり、ご家庭それぞれ。

ただ、どちらを選んでも『考えの支え方』を育んでおくと、英語はツールとして活きやすくなり、中身の薄さというところから離れていくものなので、私は、こどもの発達段階と合わせてその部分を大事にしていきたいと思っています。

 

最後に|英語がツールになる順番

 

小学校高学年から中学生は、理由・根拠・具体例・別の見方といった【考えの支え方】が育ち始める時期。

海外の教室では、その支え方が授業の流れとして回りやすい。

そしてその土台は、英語より先に母語での思考時間の中で厚くなりやすい。

英語を『増やす』前に、考えの『支え』を育てる。

この順番が整うと、英語はツールとして一段ラクに動き始めるもの。

この『理由・根拠・別の見方をどう育てるか』について、The Japan Times Alpha Jさんでのセミナーでもお話させていただきます。

英字新聞を『きっかけ』にしながら育む関わり。

ここにもまた大きなヒントとなるものがあるかもしれません^^

The Japan Timese Alpha Jセミナー

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