頭では、こどもの好きを伸ばすことの大切さは理解できるけれど、目の前の我が子を見ていると、
「もっと頑張った方が…」
「これもやった方がいいんじゃない?」
「もっとできるんじゃない?」
などとなられることって、あると思います。
実際、「どうしたら良いのか…」などといったご相談も少なくないです。
以前よりも、「頑張らせる」より「その子らしさを大事に」といった考え方は広がってきていますし、私自身も、日々そういった視点から発達・学び・おうち英語・子育てについてお伝えしています。
だからこそ、そういったメッセージを受け取る度に『理解』と『実際』の違いに、立ち止まれることってあると思うんですよね。
今回は、この『頭で分かっているのに、我が子になると揺れる』といった部分について、発達の視点から整理していってみたいと思います。
【今回のポイント】
・こどもの『好き』を大切にしたいと思っていても、目の前の我が子にはつい「もっと」が出やすいのは、考えの古さや理解の浅さではない
・こどもの今の姿が『ただの好き』ではなく、どんな力につながっているのか見える言葉になると、関わり方は変わりやすい
・不安になった時ほど、『何を足すか』の前に『何を守りたいか』を見つめる事が、関わり方のヒントになる
・日々の中で、育ちを言語化していくことは、のちの進路や進学の場面にもつながっていく
こどもの『好き』を大切にしたいのに、不安になるのは自然なこと
こどもの『好き』を大切にしたいし、それが大事なのは分かるけれど、どうしても日常に戻ると揺れるものがある。
不安になる。
焦る。

そんな状態に、「ダメだな…」と思われるおうちの方も少なくないですが、これって私は、あって良いものだと感じています。
こどもの『好き』を大切にしたいのに不安になったりするのは、考えが古いからでも、こどもを信じていないからでもなく、その逆の『こどもの可能性を見ているから』だと思うのです。
だからこそ不安や焦りが生まれる。
「この子の力を取りこぼしたくない」
「今やっておいた方がいいものを逃したくない」
「あとから困る事になったらどうしよう…」
しかも、私たち大人が自身が長い事
・点数
・偏差値
・級
・できた量
・先取り
・見える成果
の中で育ってきたからこそ、そう考えてしまうことも自然だと思うのです。
だからこそ、頭では分かっていても、新しい価値観に触れ共感しても、不安になった瞬間、からだに染みついた古いものさしに戻りやすいんですよね。
これって、ある意味、とっても人間らしい反応だと私は思うのです。
人は『見える成果』に気持ちが引っ張られやすい
「好きなことを大切に」と言われると、どこか理想論に聞こえてしまうことがあると思います。
その理由は、『好き』がつなげてくれるものは、たいていすぐには見えにくいからなんですよね^^
たとえば、目の前の我が子に今、夢中になっていることがあるとします。
でも、その姿を見た時に大人が知りたいのって、実はただ1つではないんですよね。
「それって、何につながるの?」
この部分。
そしてここが見えないと不安になってしまうことが多いと思うんです。

一方で、
・問題集を1冊終えた
・この単元を理解できた
・級が取れた
・テストで点数が上がった
こういったものは、わかりやすい。
結果として見える。
比較もしやすい。
だからこそ、不安になった時ほど、おうちの人たちの気持ちは【見える成果】に引っ張られやすくなるんですよね。
それ故、「もっとやった方が…」の正体って、実は向上心だけではないんですよね。
見えないものを信じきれない時に、見えるものへ焦点が戻っていってしまうんですよね。
『今起きている育ち』が言葉になっていないと、信じにくい
ここで大事になるのが、今起きている育ちを言語化すること。
たとえば、「マイクラが好き」と聞くと、ただの遊びに見えたり思たりすることがあると思います。
「折り紙ばかりしている」と聞くと、趣味に見えたり思えてしまったり。
また、「動画を何度も見ている」と聞くと、受け身に見えてしまったり思えてしまったり…ですね。
でもこれ、少し見方を変えると、そこには別の力が動いていることもあるわけです。
たとえば、こんなふうに^^
・パターンや規則性を見つける
・何度も試して修正する
・細部の違いに気づく
・世界観を立ち上げる
・見たものを頭の中で再構成する
・自分なりの順番で理解していく
こうしたものって、その場で見える『できた・できない』とは別のところで育っていっているんですよね。
けれど、それが見える言葉になっていないとおうちの方の中では、
「ただ好きなことをしているだけでは?」
「今、必要なことから遠ざかっていない?」
「これで本当に伸びているの?」
となりやすい。
うん、わかります^^
見えないものは、信じにくい。
これって、かなり自然なこと。
だから私は、『好きなことを大事にしましょう!』とだけお伝えしたいわけではないんですよね。
そう思っています。
そのため、キッズのコーチングでは常に、お子さんたちの『好き』や『興味関心』『やってみたい』を軸に過ごし、お子さんがどんな力を使い、何を育んでいっているのかを見える言葉にしたフィードバックをお送りしています。
やっかいなのは、強みが見えても「もっと」に変わりやすいこと
ここが、実はかなり大事なところ。
「今起きている育ちが見えれば安心できる」と思われがちなのですが、実際には見えたからこそ別の揺れが起きることもあったりするんですよね。
たとえば、
「この子、算数的な思考が強いですね。」
「組み立て方がとても論理的ですね。」
「規則性を見つける力がありますね。」
と伝わったとき、おうちの方の中で起きやすいのは、
「じゃあ、もっとやった方がいいのでは?」
「その力、今のうちに伸ばした方がいいのでは?」
「せっかく強みがあるなら、使わないともったいないのでは?」
という変換。

そう、強みの発見が、そのまま追加課題の発見になってしまうことがあるのです。
これも、親としては当然のこと^^
良さが見えたら、伸ばしてあげたくなる。
使える力なら、早めに活かしたくなる。
ラッキーな芽なら、逃したくない。
でも、本来見たいのは、『もっと足すかどうか』だけではないんですよね。
・どんな条件だと、その良さが出やすいのか
・逆に、どんな負荷がかかると、その良さが見えにくくなるのか
・今は『積む時期』なのか、それとも『回る形を見守る時期』なのか
ここまで見えてきて初めて、その子に合う関わり方が見えやすくなるのです。
『伸ばす事』とは、足すことではない
何気ないけれど、とても大切なこと。
それは、
ということ。
我が子の得意なものが見えた時、つい親である私たちは『じゃあ、何を足そうか』を考えがちなもの。

でも、足すことがいつも伸びるとは限らないんですよね。
たとえば、算数的な思考が強い子に対しても
・量を増やすより、構造を見抜く問いの方が合うのか
・スピードを求めるより、深く組み立てる方が力が出るのか
・学校的なプリントより、遊びや制作の中でよく動くのか
この辺りって、本当にその子その子によって全く違うんですよね。
同じ『算数的思考がある』でも、それをどう使いやすいかは違うのです。
だから本当に大事なのは、「この力があるから、これをもっと」ではなく、
「この子の力は、どういう環境だと自然に動くのだろう」
「どういう形なら、この子らしく使いやすいのだろう」
という視点。
ここが見えてくると『伸ばす』が課題を増やすことから回る条件を整えることへと変わっていくんですよね。
不安になった時こそ、『何を足すか』より『何を守りたいか』を見てみる
ただとはいえ、「それは分かるけれど、実際に不安になった時には、やっぱり『何かした方が良いのでは』と考えてしまう」…と感じられる方もいると思います。
これもとても自然なこと^^
不安が強くなると、どうして意識は、人の心理としても
・何が足りないか
・何を追加すべきか
・次に何をやらせた方がいいか
へ向きやすくなるんですよね。
でも、そんな時にこそ大切にして欲しい視点・問いがこれです。
たとえば、
・楽しそうにしている姿
・自分から向かっていく姿
・夢中になっている姿
・生き生きしている表情
・自分の考えで動いている感じ
・その子らしさがふっと出る瞬間
こういった【守りたい姿】の中には、実はその子の強みの芽や力の出方が隠れていることが少なくないんですよね^^
ここで大事なことは、『その「好き」は将来何の役に立つのか」「何の強みになるのか」とすぐに評価に向かわないこと。
この子のどんな姿を私は大切にしたいのか。
その姿の中で、どんなその子らしさが動いているのか。
まずはそこを見てみること。
すると、『何を増やすか』の前に、『この子はどんな時に回りやすいのか』『何があると、この子らしく力を使いやすのか』が見えやすくなるんですよね。
そう、【守りたい姿】は、ただ微笑ましいものではなく、その子の周り方や強みの土台を知る手掛かりにもなりやすいのです。
今の見立ては、のちの進路の言葉にもなっていく
こうした『今起きている育ちを見える言葉にしていくこと』は、日々の関わりのためだけでなく、これから先の進路を考える場面でもとても大切だと思っています。
不安になると、『親』というものはつい『何を足したらいいだろう?』『何をやらせた方がいいだろう』と考えやすくなるものです。
ですが、進学の場面で本当に必要になってくるのは、単に『何をやったか』を並べることだけではないんですよね。
どんなことに夢中になってきたのか。
どんな場面で力が動きやすいのか。
何に違和感を持ち、何を大切にしてきたのか。
そういったことが言葉になっているかどうかは、国内外を問わず、これからの進路選択の中でますます大事になってくると私は感じています。

私がおうち英語やグローバル子育てについて発信しているのも、単に英語力そのものを目的にしているからではないです^^
その子が自分の興味や強みをどう育て、どう表現していくか。
そして、どんな環境でその子らしく学べるか。
そこが、これからの学びや進路にもつながっていくと感じているからです。
だからこそ、今、目の前のこどもに何かを足すことばかり急ぐのではなく、『この子今、何を育んでいるのだろう』『この子らしさは、どんな場面に表れているのだろう』と見ていくことには、大きな意味があるんですよね。
それは、その場しのぎの安心のためではなく、その子が自分の歩みを自分の言葉で語っていくための土台にもなっていくから。
日々の中で紡いできた見立ては、やがて
・志望理由の輪郭
・面性や自己表現の土台
・「この子は、どういう環境で力をはっきしやすのか」を考える材料
にもなっていきます。
進路は突然始まるものではないですからね。
日々の中で、その子の育ちをどう受け取り、どう言葉にしてきたか。
その積み重ねが、あとから進路にもつながっていくのだと思います。
おうちの方が最初に見たいのは『何ができないか』だけではない
とはいえ、ここでまた
「じゃあ、親が毎日そんな風に見立てなければいけないの?」
「そんな高度なこと、私にはできない」
と感じられる方もいらっしゃると思います。
でも、ここも完璧である必要なないと思っています^^
最初から専門的に見抜こうとしなくて大丈夫!
大切なのは、『できていない』だけで終わらせないこと。
たとえば
・宿題がなかなか始められない
・好きなことばかりしている
・一見遠回りに見えることに時間をかけている
・気になることがあると、そこに深く入りこむ
・教えた通りにはやらない
こういった姿があった時に、すぐに『問題』と決め切らず、
「この子は今、どんな力を使っているのだろう?」
「何が動いていて、何が引っかかっているのだろう?」
「困りごとに見えるけれど、別の良さも一緒に出ていないだろうか?」
と一度立ち止まってみる。

そして、もしこの時迷うものがあればさらに、「私はこの子の何を守りたいのだろう?」「この子らしさがいちばん出ているのは、どんな時だろう?」と問い直してみること。
この『1回立ち止まる』だけでも、見え方ってかなり変わってくるはずです。
見立てとは、『特別な才能ではなく、今までの物差しだけで決め切らないこと』、ここから始まるように思います^^
『好き』を大切にするこは、なんでも好きにさせることではない
やや誤解されやすいのが、この部分。
『好きなことを大切にする』というと、なんでも自由に、何もかも本人任せに…という話に聞こえることもあると思います。
ですが、私が大切だと思っているのは、そうではないんですよね。
好きなことの中に、その子の
・考えやすさ
・つながりやすさ
・深まりやすさ
・自分らしく入れる条件
が見えやすく出るんですよね。
だから、好きなことそのものが目的というより、その子の周り方を知る入り口として大切ということなのです。
ここを見ずに、『今必要そうなもの』だけを足していくと
力はあるのに回らない
できるはずなのにしんどい
得意なはずなのに苦手感だけが残る
そういったことも起きやすくなるんですよね。
なので、『好き』を見ることは甘さではなく、むしろ、その子の合う学び方や伸び方を見つけるための、かなり実用的な視点だと私は思っていますし、実際我が子がいわゆる不登校だった時なんか特に、何もしないような日々でしたが、この部分だけを見るように過ごしてきました。
こどもの今を見立てる言葉が増えると、親の焦りは少し軽くなる
親の焦りをゼロにすることは、多分できないと思います^^
大事だからこそ、不安になるんですものね!
ですが、急の中で見えるものが変わることはあります。
「これもやった方がいいのでは?」と思った時、その気持ち自体を否定するのではなく、上記までにシェアさせていただいた問いを問い直す。
そうすると、関わり方って自ずと少しずつ変わってくるものです^^
そして、こうした問いは、こどもを見る時だけでなく、おうちの方自身の不安を整理する時にも、とても役立つものになるはずです。
『もっと足す』しか選択肢がない状態から、『今ある育ちを受け取る』という選択肢がみえてくるからですね!
「うちの子の場合、どうみたらいいんだろう?」
そんな時に、今起きていることを一緒に整理しながら、関わり方や学び方を見ていく時間があると、『何を足すか』の前に、今この子の中で何が育っているのかが、少しずつ見えやすくなっていきます。
おうちの方と整理していくLENSや、こども本人の思考や興味の動きを見ていくキッズコーチングでは、日々のこどもとの時間を、今までとは少し違う目でみれるようになるきっかけにもなっています。
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