「発達×個性」を起点に、こどもの学び方・おうち英語・海外教育を、こどもと歩む人たちが“デザインしていく”ための視点や問いをお届けしている林智代乃です。
先日、The Japan Times Alpha Jさんにてセミナーを担当させていただいた際に受け取らせていただきましたご質問をきっかけに書いているシリーズ。
1回目は、【目標設定】に関するお話を。
「発達×個性」を起点に、こどもの学び方・おうち英語・海外教育を、こどもと歩む人たちが“デザインしていく”ための視点や問いをお届けしている林智代乃です。 先日、The Japan Times Alpha Jさんにて、セミナーを担当させて[…]
2回目は、【ルーティン化】についてをテーマにしたお話を書いてみました。
「発達×個性」を起点に、こどもの学び方・おうち英語・海外教育を、こどもと歩む人たちが“デザインしていく”ための視点や問いをお届けしている林智代乃です。 先日、The Japan Times Alpha Jさんにてセミナーを担当させてい[…]
そして3回目の今回は、【(中高生だと特に)忙しさの中で続けやすくする工夫】をテーマに、書いていってみようと思います。
【今回のポイント】
・中高生の『続かない』は、意思の弱さというより課題・部活・塾などで、脳の処理量が増えるから
・おうちでできる事は、努力を足すより負荷を減らす設計と戻れる仕組みづくり
『続かない』は、性格じゃなく、条件で起きやすい
段々と『学習』に耐性もついてきて、『やるべきこと』に向かう力が育ち始めてくる中学生以降の時期。
『受験』なども現実味を帯びてきて、『少しずつ積む』ような時間を過ごしてもらいたいな…と思うのが親心。
一方で、最初こそ取り組めつつも、段々とその取り組みがフェードアウトしていったり、日々の忙しさに押されて後回しになり手付かずになるものも出てきたり…ということも起きやすい。

ここで大事なのは、『続けられない=性格』ではなく、その日の生活の中で処理する情報と切り替えが多すぎて、中高生の1日は、まさに脳にとって『通信量が多い』ような1日!
学校では授業の情報処理があり、対人関係の気遣いがあり、移動があり、部活があり、提出物や締切があり、塾があればさらに課題がある。
中高生の1日って、『意思が足りない』より先に、脳の中が『処理で埋まりやすい構造』になっているんですよね。
では、この時期のこどもたちの脳は、どんな特徴を持ちやすいのか。
そこが見えてくると、「もっと頑張らせる」ではなく、進めやす条件を整えるという形で関わりのヒントが見えてきます^^
実行機能は育ち中!(できる日とできない日の波が出やすい)
中学生以降って、考える力が伸びる一方で、『始める』『切り替える』『優先順位を決める』『途中でやめる』といった、いわゆる実行機能は、まだまだ伸びている途中。
この実行機能って、『できる・できない』の能力差というより、『制御』の働き。
睡眠・疲労・空腹・ストレスなどその日のコンディションの影響を受けやすいんですよね。
中高生期は、この制御システム自体が育ち途中でもあるため、ネガティヴな条件が重ねるほど、「わかっているのに、手がつかない」「始められない」「切り替えられない」が起こりやすくなるのです。
なので、同じこどもでも
・スッと始められる日
・何から手をつけていいか分からなくなる日
・机に向かう前に止まってしまう日
こいった様子が出るのって、むしろ自然なことなんですよね。
ここで大事なことは、『波が出る事自体を問題にしない』という事。
波が出る前提で、「波が大きい日も続けやすい形」を先に作っておくほうが、結果的に折れにくくなります。
『やりたくない』より『入らない』が起きる理由
中高生の忙しさが続くと、もう一つ起こりやすいのが『作業記憶(頭のメモ)が満タン』になること。
作業記憶は、『今やること』『次にやること』『忘れちゃいけないこと』を一時的に置いておく場所。
宿題・提出物・小テスト・部活の予定・塾の課題・連絡事項…。
こういう保持しながら動く情報が増えるほど、頭のメモは埋まりやすくなるんですよね。

さらに中学生以降は、外側の予定が増えるだけでなく、内側の『考える量』も増えやすい時期。
・相手の気持ちや自分の見られ方を考えたり
・「ちゃんとやりたい!」と思う分だけ迷いが増えたり
これらは成長でもあるのですが、その分、作業記憶(頭のメモ)が『学習以外の処理』でも埋まりやすくなるんですよね。
この状態で「さらに別のことを追加!」となると、本人の感覚としては、『やりたくない』というよりも『新しい内容が入ってこない/整理できない』が起きやすいのです。
つまり、ここで起きているのは怠けではなく、理解・整理・定着に使えるスペースが足りないという現象であることが多いのです。
集中より先に『始める力』が落ちやすい日(睡眠×発達心理)
『忙しさの中で続けやすくする工夫』を考える時、睡眠は避けて通れないもの。
理由はシンプルで、睡眠は『集中力』だけでなく、実行機能(始める・切り替える・抑える)と作業記憶(頭のメモ)の働きに関わりやすいから。
ただ、この時期の『難しさ』は睡眠だけで語り切れないところもあるんですよね。
中学生〜高校生は、生活が忙しくなるだけでなく、発達心理的にも心の中で処理すること(対人・自己評価・考えの反芻など)が増えやすい時期。
・課題/部活/塾で夕方以降が詰まりやすく、就寝が押しやすい一方、朝は学校で固定されやすい
・思春期の影響で、眠くなる時間が後ろにずれやすい(でも朝は早いまま)
・人間関係や自己評価の揺れが増え、頭の中が『休みにくい日』が出やすい
こうした条件が重なりやすいのが、この時期なんですよね。

そして、睡眠が足りない日と心の負担が大きい日が重なると、『続ける』の入り口が一気に重くなりやすいもの。
たとえば、こういった様子が出やすくなります。
・何からやるか決めにくい(優先順位がつけにくい)
・途中で集中が切れやすい(気が散って戻りいくい)
・些細なことでイラッとしやすい(抑える力が働きにくい)
こうなると、「よし、やろう!」の最初の一歩が出にくくなったり、切り替えが遅くなったり、気持ちの揺れが大きくなったりして、結果として『続ける』が難しくなりやすいんですよね。
ここで大切なのは『やる気がない』と決めるよりも、その日の認知資源(注意・頭のメモ・切り替え絵に使える力)の残量が少ない日だったと見立ててみること。
見立てが変わってくると、おうちでの関わりが、『イライラ/モヤモヤ』ではなく『軽くする設計を考える』の方向に移り易くなってくると思います。
とはいえ、中学生〜高校生の生活は、簡単に余白が作れない時期。
だからこそ、睡眠が削れた日や、心の負荷が大きい日ほど、『頑張って伸ばす』よりも先ずは『減らす設計』が効きやすいんですよね。
減らす設計の核心|最初から『最小ルート』を決めておく
ここまでで見えてきたのは、『続ける』を支えるのは気合いよりも、認知資源(注意・頭のメモ・切り替えに使える力)の残量に合わせた設計だということ。
中学生の生活は、日によって負荷が変わるもの。
だからこそ、『毎日同じ量をやる』を目標にすると、どうしても続きづらいんですよね。
うまくいかなかった時に、自己否定が起きてしまうと、さらに戻りにくくもなってしまいますしね。
そこでおすすめなのが、最初から
・普通の日はこれだけ(1分レベル)
・余力がある日はこれだけ(3分レベル)
と最小ルートを先に決めておくこと。

これは『手を抜く』ではなく、『戻りやすさを守る』意味での設計です。
忙しい日でも折れにくい|最小ルート(30秒/1分/3分)
じゃあ、実際どうしていったら良いのかを、下記にちょっと書いていってみようと思います^^
教材等は何でもOKですが、今回はイメージしやすいように、いただいたご質問のきっかけとなりましたThe Japan Times Alpha Jさんを利用したら…の場合で例を書いていってみたいと思います。
忙しい日|30秒レベル
やることは1つだけでOK!
・見出しを1つみる(もしくは写真・図だけ見る)
・最後に一言だけ(日本語でOK!)
┗『今日のテーマは○○!』『これが気になった』
⭐︎ポイント:理解を完成させるのが目的ではなく、『再開しやすい接点を残す』こと。
(例えば英字新聞なら、見出しだけ/写真だけでも十分『話題に触れた』になります)
普通の日|1分レベル(要点1文・問い1つ)
『考える』を増やしすぎないのがポイント!
・問いを1つだけ置く(答えはその時じゃなくてもOK!)
┗「これは誰に影響ある?」「なんで今この話題?」「自分ならどうする?」
⭐︎ポイント:問いは『深掘り』ではなく、入り口としておく。
(例えば英字新聞なら、本文を全部追わなくても、要点1文+問い1つで十分『学びの入り口』になりますね)
余力の日|3分レベル(観点1つ+具体1つ)
余力がある日は、ここで『思考の伸び』を活かしやすいです。
・観点を1つ選ぶ(原因/影響/数字/立場/対立…など)
・具体を1つ足す(学校・部活・家庭・最近の出来事に接続)
┗『今日のテーマは○○!』『これが気になった』
⭐︎ポイント:『量』よりも見方(観点)を1枚増やす。
(例えば英字新聞なら、時期を全部理解しなくても『観点1つ』で読めると、負荷が増えいにくいです)
迷った時の固定ルート
分岐が増えるほど、迷いが増えやすいものなので、迷われた場合は、こんな風に決めてみちゃうのもありですね!
・平日|30秒 or 1分(最小ルート)
・週末|3分
『毎日きっちり』ではなく、『戻れる形』が最優先です^^
親の関与はゼロでいい?『量』ではなく『場所』を変える
中学生以降は、親が管理し過ぎるほど、やっぱり摩擦が増えやすい時期。
一方で、生活が詰まりやすい時期でもあるので、こども側だけでは立て直しにくいこともあるんですよね。
だからこそおすすめは、『関与をゼロにするより、役割を変える』ということ。
・親=口出し係 → 親=戻りやすさを守る人
こんな感じですね!

よくあるご質問|FAQ
Q1. 部活後は本当に何もできません…
→部活後は疲労+切り替え+空腹で、開始の負荷が上がりやすいんですよね。帰宅直後に『ちゃんと』を置かず、落ち着いてから30秒にする方が進みやすいことが多いです^^
Q2. 宿題と塾の課題で手一杯。これ以上は無理なのかな?
→無理に足さない前提でOK!最小ルートは『追加のお勉強』というより、戻れる接点を残す設計ですね!
Q3. 英語が得意じゃないのに英字新聞はハードルが高い…
→だからこそ『毎日課題』にしないのがコツ!
見出し・写真・固有名詞を拾うだけでも接点になります。理解の完成より、接点を残す発想が合いますね!
さいごに|毎日より、戻れる形
中学生の『続かない』を、こどもの性格や根性の問題にしてしまうと、ちょっともったいないとこと。
課題・部活・塾・睡眠、そして発達心理的な心の処理量が重なりやすい時期だからこそ
・摩擦を減らす
・戻れる仕組みを作る
この2つがお家でできる現実的な支えになります^^
今回のシリーズでは、『目標設定(ピント型/地図型)→ルーティン化(選択を減らす)→継続(負荷を減らす)…という順番で『設計』を整えてきました。
全部を一気に整えなくて大丈夫!
先ずは軽く整えられるところからで大丈夫です^^

