「大丈夫だよ!」
「心配しなくて平気だよ!」
そう伝えているのに、しばらくするとまた同じ不安が戻ってくる。
そんなことってありますよね。
おうちの方からすると、「安心できるように関わっているのに、なぜまた不安になるのだろう…」と戸惑うこともあると思います。
けれどここを【発達の視点】で見ていくと、ここには単なる性格や気持ちの持ちようだけでは片付けにくい背景があることあります。
不安が大きいこどもの中には、感じていることや考えていることが少ないのではなく、むしろ内側でたくさんのことが動いている子がいたりするんですよね。
ただ、それがまだ本人の中で『扱いやすい形』になりきっていない。
だからこそ、安心してもまだ不安が戻ってきやすいことがあるんですよね。
今回は、そんな流れを、『不安が大きいこどもへの関わり』を『落ち着かせること』にだけで終わらせず、【言葉にしていく時間】が何を育てていくのかというところまで整理してみたいと思います^^
【今回のポイント】
・安心させているのに不安が繰り返されるのは、安心が足りないからとは限らない。
・不安の背景には、想像の広がり、先読みの強さ、わからなさへのしんどさが重なってることがある。
・不安のかたまりを少しずつ言葉にしていく時間が、不安との付き合い方を育てていく
・大切なのは不安をなくすことではなく、その子が自分の内側を少しずつ扱いやすくなっていくこと。
安心させているのに、不安が繰り返される理由
「大丈夫だよ」
「そんなこと起きないよ」
「きっと平気だよ!」
不安が大きくなっているこどもに、そう声をかけることは自然なことですし、実際に安心はとても大切!
我が家の娘も不安が大きなタイプで、私も「大丈夫だよ!」と声を掛けてきたことは何度もありますし、今でもあります^^
まずは気持ちを落ち着けられること、安心できる人がそばにいること、それ自体が土台になるからですね。
ただ、発達の視点から見ていくと安心だけでは回りきらない子もいるんですよね。

何度安心させても、また同じ不安が戻ってくる。
少し落ち着いたと思ったのに、また別の形で心配がはじまる。
そんな時、必要なのは、『もっと励ますこと』ではなく、その子の中で何が起きているのかを見ていくことだったりします。
不安が繰り返されるときに、本人の中でまだ
・どこから気持ちが大きくなったのか
・何を想像してしんどくなっているのか
が、ひとつの『かたまり』のまま残っていて、不安の中身がまだ分かれていないからなんですよね。
たとえば、『こわい』と言っても、その中には
・何をするのか分からないのが不安
・うまくできなかったときの視線がイヤ
・先の展開が読めずに落ち着かない
など、実はいくつもの要素が重なっていることがあるのです。
けれど、それがまだ本人の中でも整理されていないと、一度落ち着いてもまた似た場面で不安が戻りやすいんですよね。
不安が大きいこどもに必要なのは、安心だけではなく、自分の中で起きていることを少しずつほどいていけることでもあるのです。
不安が大きいこどもの内側で起きていること
『不安が大きい子』と一言で言っても、その背景は1つではないんですよね。
ですが、ここをよく見てみると、いくつかの共通するパターンがあるんですよね。

1. 想像が広がることで不安が大きくなる子 / 先の場面が見えすぎる子
ある子は、頭の中でまだ起きていない先の場面まで頭の中で見えてしまったり。
「こうなったらどうしよう…」
「そのあとに、こんなことが起きたら?」
「もし失敗したら、そのあとどうなる?」
そんなふうに、未来が枝分かれするように見えてしまう。
このタイプの子は、単にネガティブなのではなく、【想像の力が強い】ことがあるのです。
だからこそ、見えなくてよいところまで見えてしまい、不安が大きくなりやすいんですよね。
2. 『どうなるか分からない』がしんどい子 / 『わからないまま』がしんどい子
また別の子は、未来を広げて考えるというより、【分からないままでいること自体】に強く反応してしまうんですよね。
予定がはっきりしない。
終わりが見えない。
何をするのか決まっていない。
そういった不確実さに強く反応しやすタイプです。
発達の視点で見ていくと、不安の強さは『弱さ』ではなく、その子なりの
・想像の広がり方
・先読みの強さ
・曖昧さへの負荷のかかりやすさ
として見えてくることがあります。
HSCやOEという言葉で説明したくなる場面もあるかもしれません。
ですが、ここで大切なのは『名前をつけること』そのものよりも、
を見ていくことなんですよね。
『不安』は減らすものではなく、付き合い方をしっていくもの
我が家のの不安が大きく出やすい娘も、不安から、色々と難しくなる場面が多かったですし、今でも多いです。
宿泊学習では、行く前から不安が高まり、参加できた後も眠れず、先生にお電話を繋いでいただいたこともあります。
中学生になってからも、1人で学校へ向かうことや、1人で電車に乗ることにも強い不安が出やすかったり、工作や家庭科などでの刃物をつかうような場面では、想像しただけで参加が難しくなることもあったり。
そういった様子を見ていても、本当に『安心させれば終わる』ではないことを体感してきています。

不安の背景には、その子の中で起きていることの多さや、想像の広がり、言葉になる前の負荷があることは、本当に少なくないんですよね。
ただ同時に、娘は以前よりも自分がどこで不安になりやすいのか、どんなサポートがあると助かるのかなどを少しずつ言葉にできるようになってきています。
不安がなくなったわけではありません。
でも、不安との付き合い方は確実に変わっていっているんですよね。
これは、キッズのコーチングでご一緒させてもらっている子たちにも、同じように感じることがあります^^
不安を大きく持ちがちな子たちが、少しずつ自分の状態をつかめるようになり、助けを求めたり、切り替えたりしやすくなっていくんですよね。
『言葉にしていく時間』が、不安との付き合い方を育てる
ここで大切になってくるのが、『言葉の出口』。
不安は、言葉にしたからといって一瞬で消えるものではないです。
ですが、言葉になることで、少しずつ付き合い方が見えるものになってきます。
「イヤ」
「こわい」
「ムリ」
だけだったものが、
「急に聞かれるかもしれないのがイヤ」
「失敗したあとのことを考えると怖い」
「何か起きるかもしれない」
「最初に何をするか分からないのが不安」
のように輪郭を持ち始めるとサポートの仕方って変わってきたりします。
ただ、ここでお伝えしたいのは、『上手に説明できるようになることがゴール』というお話ではないです。
そうではなく、『自分の内側で起きていることを、自分でも少しずつ掴めるようになっていく』こと。
これこそが、【不安との付き合い方を育てていく】のだと感じています。
不安との付き合い方は、“言葉にしていく時間”の中で育っていく
不安との付き合い方って、何か特別な『不安対策の時間』だけで育つものでもないんですよね。
むしろ、こどもが好きなことをしている時間や安心して過ごしている何気ない時間の中で、自分の内側にあるものを少しずつ言葉にしていく経験を重ねることが、大きな土台になっていくもの。
ただ、ここで大切なのは、『ただ一緒に過ごすことそのもの』ではなく、その時間の中で『こどもの中にある考えや迷い、引っ掛かりをどう受け取り、どう言葉にして返していくか』という部分。
実際、キッズのコーチングでも、不安が大きくなりやすい子達との関わりでは、不安との付き合い方そのものを伝えてきた訳ではないです。

工作遊びやマイクラ、何気ない対話の時間の中で、こどもたちがふとこぼす
「これを作りたい!」
「ここが難しい!」
「本当はこうしたかった」
「こうなると思った」
「今はちょっと迷ってる」
といった言葉を、そのまま流さずに受け取っていくんですね。
たとえば、
「どんな感じをイメージしてる?」
「どこから難しくなった感じがする?」
「本当はどうしたかった?」
「何に迷っているのが近いかな?」
そんなふうに、こどもたちの中にある曖昧なものに少しずつ輪郭がついていくような問いを重ねていく。
すると、こどもはただ作っているだけでなく、
何に困っていたのか
どうしたかったのか
を少しずつ外に出せるようになっていくんですよね。
こういった積み重ねが、結果として、不安との付き合い方上手につながっていっている瞬間を多々みさせてもらっています。
想像力や先読みは、弱みだけではない
不安が大きいタイプの子は、確かにしんどさを抱えています。
でもその力は、
・先を読む力
・文脈を拾う力
・場面を立体的に見る力
・人の気持ちや空気を感じ取る力
にもなる部分。
だからこそ、不安を大きく持ちやすい子たちに『想像しない』ことを伝えるのではなく、『想像できる力を、その子自身が苦しすぎない形で持てるようにしていくこと』なんですよね。
発達を活かすというのは、苦手をただ消していくことではなく、その子の持っている力がどんな場面でしんどさにも強みにもなりうるのか見えていくことでもある訳です。
おうちでできる言語化サポート
では、おうちでは、どんなことができるのか。
正解を当てにいかず、言葉のたたき台を置く
「何が不安なの?」と聞いても、まだ本人の中で分かれていないことがあるんですよね。
そんな時は、答えをもとめるより、『言葉のたたき台を置く』くらいがちょうど良かったりします。
例えば、
「色々なことが考えられたり、思いついたりしちゃう感じかな?」
「どうなるか分からないのが、落ち着かない感じ?」
「全部がイヤというより、最初のところがしんどいのかな?」
とかですね。
こんなふうに、本人が『それに近いかも!』と選べるような言葉を置いていく感じです。
不安を『かたまり』のまま扱わない
たとえは、学校へ行き渋る様子があった時、学校全部がイヤなのか、朝がしんどいのか、教室に入る瞬間が不安なのか。
何かに取り組む時に「怖い」という様子なら、失敗が怖いのか、予想外がこわいのか、人の反応が気になるのか。
こうして少しずつ分けていくと、不安は『巨大なかたまり』から『扱えるもの』に近づいてくるんですよね。
話せない時は別の出口でもOK!
『言語化』というと、上手に話すことのように見えるかもしれません。
でも実際には、話す以外にも出口はあるんですよね。
・近い言葉を選ぶ
・紙に書く
・絵や図にする
・順番に並べる
大切なのは、『きれいに説明すること』ではなく、本人の内側に少し輪郭をつけていくことなのです。
家庭だけでは回しにくいときは、外の対話の場が助けになることもある
言葉にしていく力は、おうちの中でも少しずつ育っていけるものではあります。
ただ、親子だからこそ近過ぎて、うまく外に出しにくいこともあります。
わかって欲しい。
でも、うまく言えない。
言おうと、気持ちが先にあふれてしまう。
そんなことも起こりやすいんですよね。
だからこそ、おうちでの安心を土台にしながら、必要に応じて少しの外の場を借りることが助けになる子もいるんですよね。
自分の考えを最初から完成させなくてもよくて、相手とのやり取りの中で、少しずつ整理していけるような場。
そうした時間の積み重ねは、不安をなくすためというより、不安や迷いを抱えたままでも、自分の内側を少しずつ言葉で扱えるようになることにつながっていきます。
もし、
「安心させても、また同じ不安が戻ってくる」「声かけを工夫しても、どこに届いていないのか分からない」。
そんな感覚があられたら、必要なのは『もっと頑張ること』ではなく、その子の中で起きていることを整理する視点かもしれません^^
このテーマは『不安』だけでなく『先読み』『癇癪』などにもつながっている部分。
このあたりは、別の記事で書いていけたらと思います。
『内側を言葉にしていく時間』が、不安との付き合い方などにつながっていく。
そんな場のきっかけとなれば…です。
小5〜中学生の、思考と言葉の土台づくりに 対話型ディベート(探究型) 勝ち負けではなく、こどもが「自分の考え」を言葉にして届ける体験を。 勝ち負けを競う場ではなく、「誰にとって?」「どんな条件なら?」と視点を増やしながら、自分の考[…]
